歯がないから定期検診は必要ない?その総入れ歯、本当に問題ありませんか?

2026年05月08日(金)
総入れ歯のメンテナンス

近年は予防歯科の普及により歯を多く残せる方は増えていますが、高齢化に伴い、総入れ歯を使用されている方も依然として多くいらっしゃいます。無くなった歯を補うためにインプラント治療を選択される患者さんも増えてきたと感じますが、それでも全く歯がなく総入れ歯を選択されている患者さんは決して少なくありません。

今回はそんな総入れ歯を使用している患者さんが何年もそのまま歯科を受診していなかったり、多少の違和感があっても総入れ歯なんてそういうもの…と諦めて何もせず放置していることについて、はたして本当に問題ないのかを入れ歯の基本的な情報と合わせてお話ししていきたいと思います。

入れ歯の種類

まずは入れ歯の種類についてですが、入れ歯は大きく二つに分類されます。

『部分入れ歯』と『総入れ歯』です。

部分入れ歯は自分の歯が1本でも残っており、その歯に金具(クラスプと言います)をかけて使う入れ歯です。

総入れ歯は自分の歯が一本もない状態での入れ歯のことを言います。

それらの入れ歯の中でも保険適応のレジン(樹脂)製の入れ歯と、自費診療の入れ歯があります。

自費診療の入れ歯には様々なタイプがあり、金属の目立たないノンクラスプデンチャーやレジンより薄くつくれることで快適に使える金属でフレーム部分をつくる金属床義歯などがあります。

自費診療の入れ歯はそれぞれの歯科医院によって取り扱いに差がありますので、かかりつけの歯科医院で相談してみて下さい。

入れ歯と他の治療法の違い

入れ歯以外の他の治療方法として、失った部分が少ない範囲であればブリッジという治療方法があります。

ブリッジは自分の歯にセメントで固定して使いますが、入れ歯は出し入れする事が可能です。

口の外に取り出して清掃消毒が出来るので清潔を保ちやすいですが、入れ歯の素材であるレジンは傷が付きやすかったり、汚れや臭いがつきやすい性質もあります。

ブリッジの方が不快感は少ないですが取り外しができなかったり、数本の歯が連結されているため清掃が難しくなる事もあります。

自費診療ではありますが、自分の歯を大きく削らずに欠損部を補う方法としてインプラントという選択肢もあります(外科処置が必要になります)。

それぞれメリット、デメリットがあります。

自分の健康な歯を削るか否か、外科処置が必要か、治療期間が長いか、費用はどのくらいか、審美性はどうか、異物感はあるかなど様々な観点から自分に合ったものを選択する事が重要です。

入れ歯の作り方

ここでは保険での総入れ歯をつくるための工程をお話します。

よく受診された患者さんに言われるのですが、総入れ歯を作りたくて受診された方には一度型取りをすると、その次には入れ歯が完成すると思っていらっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。

実際に総入れ歯を作ろうとすると、短い期間で作製するのはそう簡単ではありません。

なぜなら入れ歯は保険治療と言えども完全オーダーメイドだからです。

型取りをして技工士さんに作業を依頼し、必要に応じてもう一度型取りをします。

その次に噛み合わせの高さを決めていきます。

総入れ歯は歯がありませんから、噛むと歯があった時より深く噛み込んでしまいます。

そうすると顎の関節にも負担が掛かってしまいます。

ですので元々歯があった時の噛み合わせに近い状態の位置を探す必要があるのです。

それから技工士さんに仮に歯を並べた状態の義歯を作ってもらい、お口の中で歯並びや噛み合わせにズレがないかを確認していきます。

最終的な入れ歯は人工歯という歯をピンク色の歯茎部分のレジンに固定してしまうので大きな調整ができません。

従って、仮の状態の義歯で人工歯の調整が可能なうちに前歯の見え方や唇との調和など、様々な観点からの最終チェックが行われます。

以上の工程を踏んで問題がなければ総入れ歯が完成します。

それぞれの工程に技工士さんの作業が含まれますので、それぞれの歯科医院で技工にかかる時間には差があるかとは思いますが4〜5回の工程を週に1度の来院で進めたとすると完成まで約1ヶ月程度の期間が必要になるのです。

そして入れ歯は完成したら終了ではありません。

お口に入れてご自宅に帰り、お食事をしてみて痛みがなく使えるかのチェックも必要になります。

オーダーメイドで入れ歯を作っていますが、筋肉の動きや歯茎の厚さ、噛み癖などで普通の食事をしても入れ歯があたって痛みを感じる事があります。

完成してから数回の調整を行い始めて自分に合った入れ歯の完成になります。

今後入れ歯を作ろうと考えている方は、製作に時間がかかることを念頭に早めに歯科医院を受診するなど余裕を持って治療を受けられる事をお勧めします。

入れ歯の変化

さて様々な工程を踏んでやっと総入れ歯が完成しました。

ではその後は何もしなくて良いのでしょうか?

答えは×です。

なぜなら人のお口は変化するからです。

歯がないため虫歯や歯周病にはなりませんが、義歯性口内炎などの粘膜のトラブルが起こることがあります。

また入れ歯はレジン素材でできています、そのためお食事を繰り返していくうちにすり減りが起きてきます。すり減ると顎の関節に負担をかける可能性があります。

噛み癖があれば左右非対称にすり減りが起き、噛み合わせが悪くなり入れ歯がガタガタと揺さぶられる原因にもなります。

この入れ歯を揺さぶる力は入れ歯が外れやすくなるだけでなく、歯茎にも負担が掛かりそのせいで歯茎の下にある骨(顎の骨)が徐々に痩せる原因になることがあります。

そうなると痛みは無くてもブヨブヨとした歯茎になってしまいます。(これをフラビーガムと言います。咬合圧や不適合義歯により慢性的に刺激を受けることで生じます。)

このタイプの歯茎になると入れ歯の安定が悪くなり、使いにくく煩わしさを感じるようになってしまいます。

歯茎が痩せても徐々に変化するためご自身では気付かない事も多くあります。

合わない入れ歯を使っていると常に入れ歯に「たわむ力」が掛かり、割れるなどの破損の原因にもなり得るのです。

それから入れ歯は歯茎を覆っていますが、その下の歯茎には実は小さな唾液腺があったりします。

大唾液腺というのは大きく3つありますが、それ以外にもお口の中には少量でも唾液を分泌する唾液腺が存在するのです。

上の入れ歯で言えば口蓋腺というのがあります。

総入れ歯になるとそこが覆われていることで唾液が分泌されにくくなる事があります。

お口の中の潤いは入れ歯にとってとても重要です。

唾液が減ると擦れやすくなり傷ができたり、ヒリヒリしたり、入れ歯が外れやすくなったりもします。

入れ歯を入れてからお口の中に起きる変化には様々な事があるのです。

入れ歯のメインテナンス

前項で入れ歯を使っていると起きうる可能性についてお話ししました。

これらはご自身では気付きにくい事も多くあります。

そのため、定期的に受診して入れ歯の変化やお口の変化をチェックする必要があるのです。

もし入れ歯がすり減っていた場合、少量の変化であれば噛み合わせを調整したり、すり減った分の噛み合わせを補修したり、入れ歯の人工歯を交換したり、新しく作り直したりという事を行います。

入れ歯の歯茎に接する部分の変化については、裏側を張り替える処置(リラインやリベースと言います)を行います。

この治療も初めは柔らかい素材のものを裏側に敷いて歯茎とのフィット感を上げていきます。  

それで問題がなければ硬い素材に交換をしていきます。

2回の工程とその後問題ないかのチェックのための来院と3回前後の来院が必要になります。

そうすることで新しく作ったかのように合い具合の良い入れ歯になります。

唾液が少なくなったことでの入れ歯の不具合に関しては唾液腺のマッサージや、口腔内の潤いを補ってくれるようなジェルをお勧めしたりもしていきます。

概ね3〜6ヶ月ごとの定期受診が推奨されます。

終わりに

入れ歯も作って終わりではない事をご理解頂けたでしょうか。

ちょっとくらいと思って不具合を我慢すると後々入れ歯を使うのにも条件の悪いお口になってしまうかも知れません。

ブヨブヨとした歯茎(フラビーガム)になってしまうと酷い場合は歯茎の切除も必要になるかも知れません。そうなると外科処置ですので大事です。

少しでも違和感があればまずは歯科医院を受診してみましょう。

総入れ歯であっても定期的なチェックと調整が大切です。

そらいろファミリー歯科

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