お口の中にコブがある!?それ骨隆起かも知れません

お口の中を見て歯茎に少し白っぽく硬いコブがある人はいるでしょうか?
多くの方は自覚が無く、ある事すら気づいていない方も多くいらっしゃいます。
鏡を見ていたら偶然見つけて、その膨らみが何か悪いできものではないか?昔より大きくなっているかも?と心配になっている方はいないでしょうか?
それ、もしかすると骨の膨らみで『骨隆起(こつりゅうき)』というものかも知れません。
聞き慣れない言葉かも知れませんが臨床ではよく見かける症状です。
今回はそんな骨隆起についてお話ししたいと思います。
骨隆起について
骨隆起とは、顎の骨が部分的に膨らみ過剰に盛り上がった状態のことを言います。
病名としては外骨症や骨隆起症と呼ばれます。
この骨の膨らみは良性のものです。
大きくなってきたとしても生活に支障がない場合は放置しても問題はありません。
骨隆起のできる場所によって分類されます。
骨隆起の分類
(1)顎隆起(かがくりゅうき)
下顎の歯の内側にできる膨らみ 特に奥歯の内側にできる事が多い
(2)口蓋隆起(こうがいりゅうき)
上顎の真ん中に出来る膨らみ 歯からは少し離れたところにできる
(3)頬側隆起(きょうそくりゅうき)
上下の歯茎の外側にできる膨らみ
できる場所は違っても基本的には同じものです。
触ると硬く、膨らんでいる部分は歯茎が薄くなるので少し白っぽい色をしています。
そして一度できると自然に小さくなったり、無くなったりすることはありません。
この骨隆起は膨らんではいますが炎症があるわけではありません。
ですので触っても痛みがあることはありません。
しかし、骨隆起があることで歯ブラシがその部分に擦れたり、食べ物がぶつかったりして傷ができている場合は痛みを感じることもあります。
その他の特徴としては子供にはほとんど見られません。
多くは大体30代くらいから膨らみ始めると言われています。
そして膨らみが目立つのが40代以降が多いようです。
気付き方はそれぞれありますが、口内炎ができて見つけたり、歯科医院で指摘されたり、偶然見つけたりと様々です。
骨隆起ができる原因
悪いものではないと聞くと安心しますが、大きく成長する可能性があるというと不安に思うと思います。
ではなぜ骨隆起ができてしまうのか?原因についてお話しします。
実は骨隆起の原因は完全には解明されていないそうです。
但し関連があると言われている原因はいくつかあります。
まず骨隆起の発生には遺伝的要因があると言われています。
ご家族にもし骨隆起がある人がいれば自分にも発症する可能性があると思われます。
そして人種でも発生率に差があるようで、私たち日本人のようなアジア系の人種は比較的骨隆起のできやすい人種であると言われています。
そして歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばり(クレンチング)が原因になっている事が多くあります。
歯ぎしりや食いしばりはかを支えている顎の骨に強く負担をかけます。
この刺激が継続して負荷をかけることで骨は自らを守るために、厚みを増していくと言われています。
ですので前歯よりも奥歯の負担がかかる歯の周囲に比較的多く見かけます。
また歯並びが影響することもあります。
噛み合わせが深かったり歯並びが悪く、部分的に噛む負担がかかっていたりするとその周りにも骨隆起ができ、成長を促す原因になっている事があります。
加齢による骨代謝の変化や歯のすり減りによる噛み合わせの変化から骨隆起が目立ち始める人もいるようです。
このように様々な要因が合わさり骨隆起が発生し、成長していくと考えられています。
骨隆起の予防と治療
骨隆起自体痛みがあるわけではないので良性のものですので基本的には経過観察になります。
しかし成長し続け大きくなると少なからず影響が出てくる場合もあります。
例えば上顎にできる口蓋隆起であれば発音する際に舌が触れるところにあるので、大きくなると邪魔になり発音しにくくなる場合があります。
普段の食事や歯磨きなどで傷つき、痛みが繰り返される時も日常生活を送るのに支障があると判断することもあります。
また入れ歯をつくる際に骨隆起があるとそこに当たって痛みを感じることで入れ歯を入れられないということも起きる場合があります。
以前診た患者さんに下の歯の裏側に骨隆起があり、食事の際にちょっと擦れて傷がついたと定期検診で受診された方がいました。
食べ物が擦れたにしては傷が大きく心配し、近いうちにもう一度受診して頂き経過観察をしましたが傷は治っておらず、剥き出しになった骨が感染し骨壊死を起こしている事がありました。骨粗しょう症の治療で注射のお薬を使われている方は顎骨壊死のリスクが上がると考えられています。
骨隆起のある部分は覆っている歯肉が薄い事もあり傷つくと治りが悪くなる事もあるのです。
そういう場合は外科的に切除する事もあります。(保険適用になります)
骨隆起の切除は局所麻酔下で行うことがほとんどです。
通常の抜歯などと同じ麻酔をして、歯肉を開き中の骨を削ります。
最後は縫合をして、傷が治れば抜糸をしておしまいです。
しかし根本的な原因が改善されていないと数年で再度発生して来る可能性はあります。
ですので予防のためにマウスピースを作製して少しでも予防していくという方法があります。
マウスピースを使うことで日常での歯ぎしりやくいしばりの負担が分散されると考えられます。
また定期検診での噛み合わせチェックにより部分的に強く負担がかかっていないか調べて噛み合わせの調整をする事もあります。
矯正治療による骨隆起
矯正治療を行うことで今まで無かった骨隆起ができたり、元々あった骨隆起が大きくなったりする事もあります。
矯正治療は歯を移動させるものですが、歯茎の中では骨が吸収したり逆に添加して作られたりを繰り返しています。(これを骨のリモデリングと言います。)
このリモデリングのバランスが崩れ骨隆起ができる場合があります。
但しこの矯正治療で発生した骨隆起(正確には骨隆起に似たような膨らみ)は矯正治療が終了して矯正力の負担が無くなると徐々に吸収して消失していきます。
稀に骨の膨らみが残る事があるようですが、再度増殖する可能性は低いと考えられています。
終わりに
今回は骨隆起について説明しました。
まずは良性で問題がないということを知っていただき安心してもらえたかと思います。
そしてお口の中でかかる力が原因で発生したり、進行することもご理解頂けたかと思います。
その骨にかかっている力は同時に歯にもかかっています。
歯がすり減っていたり、欠けたり、割れたりする原因にもなっているかも知れません。
骨隆起に気づいた場合はその時点から予防的処置が必要か相談してみましょう。
食事や歯磨きなどの日常生活に支障があるときや、見た目に気になるときでも除去することは可能です。
そして骨隆起に擦れて傷ができたり、口内炎ができたりして痛みがある場合や1〜2週間経過観察していても治らない場合は放置せず一度歯科医院を受診しましょう。
良性のものと安心していても、痛みの原因で他の病気が隠れている可能性があります。
お口の中の傷はなかなか自分では判断しにくいものもあるので、症状があるときは早めの受診をお勧めします。
