冷たいものが美味しい季節!でも歯がしみる…

7月に入り夏本番!冷たいビールに冷たいアイス。
暑い日々が続くとどうしても冷たいものを欲しますよね。
しかし、冷たいものでキーンとする痛みに苦労されている方も多いのではないでしょうか?
このしみる症状は知覚過敏かもしれません。
今回は知覚過敏についてお話ししたいと思います。
知覚過敏とは
皆さんは『知覚過敏』という言葉を一度は耳にしたことはあると思います。
病名としては『象牙質知覚過敏症』というのが正確な病名になります。
歯が健康な場合、歯肉から見えている部分は、身体の中で最も硬い組織であるエナメル質に覆われており、通常は刺激が内部に伝わりにくくなっています。
エナメル質の内側には象牙質という組織があり、この象牙質が露出すると、刺激によってしみやすくなります。
また歯ぐきが下がると、歯の根の部分の象牙質が露出しやすくなり、この場合もしみやすくなります。
象牙質には「象牙細管」という細い管が多数あります。象牙質が露出すると、冷気や冷水などによって管の中の液体が動き、その刺激が歯の内部の神経に伝わって痛みを感じると考えられています。
知覚過敏では、冷たいものや風、歯ブラシなどの刺激によって、一時的に歯に鋭い痛みが生じます。
刺激がなくなると、痛みは比較的速やかに治まるのが一般的です。
何もしていないときにも痛む場合や、刺激がなくなっても痛みが長く続く場合は、虫歯や歯髄炎など別の病気が疑われます。
患者さんの表現としては『キーンとする』や『ビリッとする』、『ひやっとする』などさまざまな表現で表されます。
表現はさまざまでも、いずれも痛みであることに変わりはなく、日常生活で不快感や不便を感じやすい症状です。
『噛むと鈍い痛みがする』『ズキズキ痛い』『ドクドク脈打つように痛い』という痛みとは異なります。
このような痛みがあるときは、進行した虫歯や歯髄炎、歯の根の先に膿がたまっていることなどが原因となっている可能性があります。
これらの病気と判別するため、診察では痛みの状態を詳しくお聞きします。
痛みがあった場合は、どのくらい持続するのか、一瞬なのか、数十秒または数分続くのかを把握しておいていただけると、診断がスムーズになります。
知覚過敏の原因
前項では、象牙質が露出することで歯がしみることをお話ししました。
ではなぜ象牙質が露出するのでしょうか?
不適切なブラッシング
歯磨きのときに硬い歯ブラシを使用したり、強い力で磨いたりすると、歯が摩耗してしまうことがあります。
それだけでなく、ブラッシングの仕方によっては歯ぐきが下がる現象(歯肉退縮)を起こすこともあります。
その結果、象牙質が露出して知覚過敏を生じることがあります。
しかし、歯の根が露出した場合に問題となるのは、知覚過敏だけではありません。
歯の根の表面はエナメル質に覆われていないため、露出すると虫歯になりやすくなります。また、しみるために歯ブラシを十分に当てられないと、磨き残しが増えることがあります。
プラークが残ると、歯肉の炎症や虫歯のリスクが高まり、口腔内の状態がさらに悪化することがあります。
しみる歯が見える場所にある場合は、歯肉退縮を起こしていないか確認してみましょう。
物が挟まりやすくなった、歯と歯の隙間が広くなった、歯が長くなったように見えるといった変化があれば、歯肉が退縮している可能性があります。一度歯科医院で診てもらいましょう。
歯周病
歯周病が原因になっていることもあります。
歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯周組織が失われ、歯の根の表面が露出して知覚過敏が生じることがあります。
歯周病は、自覚症状が乏しいまま進行することがある病気です。
歯が動いたり、噛みにくくなったりしてから気づく人も少なくありません。
また、失われた歯周組織が自然に元の状態へ戻るわけではありません。
そのため、定期的に状態を確認して予防し、適切にコントロールすることが必要です。
若いときに問題がなくても、年齢を重ねるにつれて歯周病が進行することがあるため、定期検診が重要です。
歯ぎしりや食いしばり
ギリギリと歯をこすり合わせる歯ぎしりや、歯を接触させて力を入れる食いしばりによっても、知覚過敏が誘発されることがあります。
特に睡眠中の歯ぎしりは自分で気づきにくく、強い力が繰り返し加わることで、歯の摩耗や亀裂などにつながることがあります。
歯の摩耗が進むだけでなく、歯に亀裂が生じることもあります。
さらに歯周病がある場合は、歯肉退縮が進みやすくなることも問題です。
酸蝕症
酸性の飲食物を頻繁に摂取していると、虫歯ではなくても歯の表面が溶けていくことがあります。
この状態を「酸蝕症」といいます。
エナメル質が溶け始める目安としてpH5.5前後が知られていますが、実際の酸蝕の起こりやすさは、酸の種類や濃度、飲み方、唾液の量などによって異なります。
少量であっても、酸性の飲食物を長時間かけて少しずつ摂取したり、頻繁に摂取したりする習慣には注意が必要です。
健康のためにお酢を飲む方、運動後の疲労回復を目的にクエン酸を摂取する方もいるでしょう。酸っぱく感じなくても、酸性の飲食物は数多くあります。
例えば、ワイン、炭酸飲料、柑橘系飲料、スポーツ飲料、乳酸菌飲料、サラダにかけるドレッシングなどが挙げられます。
熱中症予防などでスポーツ飲料を利用する場合もありますが、だらだらと長時間飲み続けることは避け、酸蝕症が進行している方は特に注意しましょう。
治療の影響によるもの
歯科治療を受けた後に、歯がしみやすくなることがあります。
例えば虫歯が大きい場合、細菌に感染した部分を取り除くことで、治療した場所が神経に近くなることがあります。
この場合、神経に近い部分まで治療したことや、詰め物などの材料による刺激で、一時的に過敏になることがあります。
時間の経過とともに症状が落ち着くこともあるため、状態によっては経過を観察します。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、神経を取る治療が必要になることもあります。
また、歯石除去の後にしみやすくなることがあります。
歯石を取り除いた部分に明らかな歯肉退縮がなくても、症状が出る場合があります。
一時的で改善することが多いものの、私も先日クリーニングを受けた後、1か月ほど知覚過敏が生じました。
私の場合は、丁寧な歯磨きを意識して過ごすことで症状が治まりました。
ほかにも、ホワイトニングによって歯がしみることがあります。
この場合も一時的なことが多く、ホワイトニングを中断することで改善が見込めます。
症状が落ち着けば加減をしながらホワイトニングを再開することも可能です。
知覚過敏の治療と予防
ここでは、知覚過敏の治療と予防についてお話しします。
知覚過敏の治療では、まず知覚過敏抑制剤を使用する方法があります。
歯科医院によって使用する薬剤は異なりますが、神経の過敏な反応を抑える成分や、象牙細管を封鎖して刺激を伝わりにくくする成分を含むものなどがあります。
知覚過敏の薬は効果の現れ方に個人差があるため、数回塗布する場合もあります。
また、歯の表面に薄い皮膜を作り、外部からの刺激を物理的に遮断する薬もあります。
歯のくびれが大きくなっている部分には、虫歯の治療にも使用するレジンという材料を詰めて、しみにくくする方法もあります。
重度の知覚過敏で痛みが強い場合や、痛みが長引く場合は、最終的な選択肢として歯の神経を取ることもあります。
神経を取る治療によって、痛みの改善が期待できます。一方で、治療後の歯には適切な保護が必要です。
神経を取る歯は、もともとの虫歯や詰め物、根管治療などによって歯質が大きく失われていることが少なくありません。
残っている歯の量によっては歯が割れるリスクが高くなるため、適切な詰め物や被せ物で保護する必要があります。
歯が割れると、状態によっては歯を残すことが難しくなる場合もあります。
そのため歯科医院では、できるだけ神経を取らずに済む治療を優先して行います。
歯ぎしりや食いしばりが強い方には、歯を保護するためにマウスピースを使用していただいたり、知覚過敏予防成分を含む歯磨剤を使用していただいたりすることがあります。
歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士が適切な歯磨きの仕方をお伝えし、必要に応じて酸性の飲食物の摂り方について助言します。
ご自宅では、知覚過敏予防成分を含む歯磨剤を使用し、やわらかめの歯ブラシで力を入れすぎずに磨くことが基本です。酸性の飲食物は、長時間かけて少しずつ摂取することを避けましょう。症状が続く場合は自己判断せず、虫歯や歯の亀裂などがないか歯科医院で確認することが大切です。
終わりに
知覚過敏について、ご理解いただけたでしょうか?
ただし、「しみるのは知覚過敏だろう」と自己判断してしまうのは危険です。
虫歯や歯の亀裂など、別の病気が隠れている可能性もあります。
わずかな症状でも、続く場合は一度歯科医院を受診して確認してみてくださいね。
